ナイキのブランド力低下や「ださい」という空気感について語るとき、まず押さえるべきは、これは流行そのものの波に強く左右される“ブランド認知の揺らぎ”だという点です。

ナイキ自体のプロダクト品質や技術力が落ちたわけではなく、消費者側の価値観の変化が前面に出てきており、特にZ世代や若年層は、メガブランドに対して「定番すぎる」「人と被る」という反応を示しやすく、個性を演出できる小規模ブランドや新興ストリートブランドに魅力を感じる傾向があります。
その結果、ナイキのような巨大ブランドは、これまでのような「特別感」というイメージから「当たり前感」が強まってしまい、ファッションにおいては魅力が希薄に映るタイミングが生まれやすくなります。
とくにナイキの場合は、スニーカーブームが一巡したことも大きい要因として挙げられ、数年前までのスニーカー投資・転売文化が落ち着き、希少モデルへの熱狂が下火になると、「ナイキ=トレンドの最先端」というイメージの賞味期限も切れてしまし、最近ではニューバランスやサロモン、オンのような「ヘルシー系・実用志向」のブランドが台頭し、変化を好む層の関心がそちらへ移ったのも、ナイキの相対的イメージを押し下げている背景とも言えます。
まぁ、ニューバランスの場合は大谷選手の影響力も大きいので、今後ナイキのような流れとならないように、しっかりとブランディングを見据えていきたいところですね。
とはいえ、これはあくまでサイクルの一部にすぎず、ナイキは常にスポーツテックやマーケティングで強烈な存在感を生み続けてきた企業であり、ダサい・時代遅れという評価が固定化されているわけではないと思います。
ブランドは潮目が変われば必ず再浮上しますし、巨大ブランドだからこそ、文化のムーブメントを読み取り、次の波をつくる力を持っているはずですから、復権してくるはず。
現在の風向きは、トレンドの反動と多様化の結果として起きている一時的な現象だと考えるのが自然であり、ファッション市場は常に循環し、どれほど普遍的なブランドでも安泰したブランド力を保つことは難しく、揺れる時期は避けられません。
ナイキがその状況をどう反転させるかは、これからの市場の面白い観察ポイントになっていきます。

